変わらない朝だ。
カーテンを開けて外を見れば、少し明るい曇り空だった。
寝ぼけたままの目、まだ熱を帯びきっていない体。
無理にでも起こして、始めなきゃ。
今日が終わってしまう前に。
いつもどこか満たされなかった。
それがいつからかはわからないけれど。
晴れきらない心を収めたまま、学校へ向かうんだ。
大学に入学してから2年が過ぎた。
でも想像していた生活は待っていなかった。
地味で、彩度の低い毎日だ。
けどどこかで待っていたんだろう。
こんな日にもいつか終わりが来るって。
通いなれた道を歩いてバス停へ向かう。
音楽を聴きながら歩けば、
気分は高まり、景色は別の色を見せる。
…もうすぐバス停に着く頃だろう。
そうして僕はバスを待っていた。
バスを待っている時間というのは退屈でもどかしい。
バスが時間通りに来ることは、あまりないし。
…にしても今日はバスが来なかった。
もうずっと待っている気がする。
少し明るい曇り空、髪をなでる乾いた風。
砂時計が砂を運び終わるのを、あとどのくらい数えればいいんだろう。
そうこうしていたら、君が来た。
君は僕を不思議そうに見てこう言った。
「そんなところで何してるの?」
「バスを待ってるんだ。でもなかなか来なくてさ」
「バス停なんてどこにもないよ、
さっきからずっとそこで立っているから、不思議に思って声をかけたんだよ」
「え…、バス停ならそこに…」
振り返るとたしかにそこにバス停はなく、
ただ道の端っこに自動販売機があるだけだった。
何もない道の上、ひとり立っていたのだ。
「あれ…たしかにない!たしかにここにバス停があったのに…」
「まだ寝ぼけてるんだね。じゃあ私は歩いて、もう行くから」
そうして君は歩いていった。
青い空気を少しだけ引き連れて。
聴いていた音楽を止めて、僕はもう一度、自分の心に問いただしていた。
ひとり何を待っていたのだろう、と。